患者さんの多くは、心の中に言葉にならない複雑な想いを抱えているものです。
医療従事者に対し、「こんなことを伝えたら迷惑かもしれない」「うまく説明できない」と遠慮してしまい、本当の気持ちを胸の奥にしまい込んでしまうケースはよくあるものです。

そんな状態を放置しておくと、いずれ大きなストレスとなり、最善の療養を阻害する原因になりかねません。
回避するためには、患者さんにとって身近な存在である看護師が、素直な気持ちを話せる環境を作る必要があります。
患者さんの誰しもが抱くのが、未来への強い不安でしょう。
こうした不安を和らげるためには、まず相手の話を否定せずに最後まで聴き切る姿勢が何よりも重要です。
忙しそうに時計を気にしたり、次の業務の準備をしながら話を聞いたりしていれば、相手は心を閉ざしてしまいます。
数分でもしっかりと向き合う時間を作り、あなたの想いを真摯に受け止めますという姿勢を全身で示すことが、信頼関係を築くうえで欠かせません。

そして会話の最中には、相手の言葉のペースに合わせた相槌を打つことも重要なポイントです。
「そうだったのですね」「それはつらかったですね」と、相手の感情に共鳴するような言葉を返すことで、話している側は「自分の気持ちを理解してもらえている」という安心感を感じることができます。
言葉が途切れたときには、沈黙を無理に埋めようとせず、相手が次の言葉を紡ぎ出すのをじっくりと待ちましょう。
聞き手に回り、余裕のある返しをするのも、大事なコミュニケーション技法の一つです。

丁寧な関わりを積み重ねていけば、患者さんが見せなかった本当の願いや本音が、ぽつりぽつりと語られるようになります。
患者さんの近くで生活を支える看護師だからこそ、引き出せる本音があることを胸に留めておきましょう。