これまで当たり前にできていた日常動作が制限される状況は、一人の人間としての自信や自尊心にダメージを与えるものです。
病院は、着替えや入浴、排泄など、人生における極めてプライベートな部分に介入する環境だからこそ、一番近くでケアを担当する看護師は、相手の尊厳を傷つけないよう細心の注意を払わなければなりません。
どのような状況であっても、相手の意思を最優先にし、自己決定の機会を奪わない関わりが基本となります。
「今日はどのお洋服を着ますか」「何時からリハビリを始めましょうか」といった、日々の小さな選択の積み重ねが、自分の人生を自分でコントロールしているという感覚を支えます。
こちらの都合やスケジュールを押し付けるのではなく、相手のペースや希望に耳を傾け、選択を尊重するようにしましょう。
また、デリケートなケアを行う場面では、相手のプライバシーへの配慮を徹底することが絶対的な鉄則となります。
カーテンの隙間をなくす、露出を最小限に抑えるといった物理的な工夫はもちろんのこと、周囲に聞こえるような大きな声で個人的な体調の話をしないといった、空間全体に対する細やかな配慮が必要です。
自分がされたらどう感じるかという視点を常に持ち、相手の恥ずかしさや戸惑いの気持ちに先回りして対応する想像力が不可欠といえます。
そこで、すべてのケアの行動において実践すべきなのが、丁寧な声かけです。
意識が朦朧としているように見える相手であっても、身体に触れる前には必ず目的を伝え、これから行うケアについて説明をしましょう。
急に身体に触れ、動かされる行為は、相手に大きな恐怖と屈辱感を与えてしまいます。
患者さんの尊厳を第一に、常に言葉をかけて、安心感を持ってもらうケアを心がけましょう。